読書タイム

小説、読みました。
いやはや、こんなじっくりと読書に耽ったのは久しぶりです。(いつも同じようなこと言ってるな)
ちょっと表紙とタイトルで惹かれたので「出版禁止」を読んでみたのですが…。
読み始めから、少し予想とは外れた展開でした。これは悪い意味で。

出版禁止 (新潮文庫)

出版禁止 (新潮文庫)

以下、内容ネタバレ。


演出家の男性とその秘書が、不倫の末に心中したと言う事件があった。(舞台は山奥のログハウス)
男性は死亡。女性は生還。死因は睡眠薬の致死量摂取。
現場の状況証拠から、これは自殺で幕引きを迎えたのだが、
あるルポライター(主人公)が、これは他殺なのではないかと疑念を抱く。
生還した女性や、周囲に存在する人物に取材をし、徐々に当日何があったかなどと真相を究明していく。
だいたい、こんな流れ。
取材を続けていくうち、主人公は生還した女性と恋仲になる。(何故?)
あげくに、真相を知るために、当日のログハウスでの不倫現場を再現しようとする。
主人公は過去の事件と同じように、致死量の睡眠薬を飲む。
結果主人公は生還するのだが、後に気が狂って留置所で自殺してしまう。真相は結局よく分からない。


ここまで書いて、私がもともとこの本の内容で期待したものは、
実際にそのログハウスで起こった惨劇みたいなものをリアルタイムで読みたかったわけですよ。
しかし、書いてあったのは出版禁止となったルポライターの手記。こんなの誰が読みたいと言うのか。
あとがきにでもかいておけばええやん…。


また、自殺した演出家の男性の周りの人物(大物政治家、シンパ、妻など)がほとんど登場しない。
大物政治家と演出家の男性が親子であったみたいな話が出てくるが、証拠もない。
演出家の妻も人物として登場しないので、よく分からない。
人物の相関関係が希薄で、不透明で、不親切である。


主人公は自分の「憶測」だけで動き、取材相手の女性と恋仲になり、同棲までする。
愛してしまったとかよく分からない感情で。
あげくのはてに、女性を殺害し切断。身体の肉を食べ、首だけを所持すると言う悪趣味な面も持つ。
ホラーと考えるならこの展開は悪くないが、実はよくある展開。
ミステリーと銘を打っているなら、自殺を他殺を持って行くような展開が期待されるのだが…結局自殺は自殺だった!
とんでもない肩透かしを食らった気分です。


それでも、およそ3時間で一気読みしてしまったので、読みにくいわけではない。
ただ、内容はそこまで面白いものではなかった。
専門的な知識を要する言葉も出てこないので、私でも書けそうだとすら思った次第です。